ごあいさつ

遺伝子治療に関わって、早20年以上の月日が経ちます。 卒後5年目の時、地方の病院で小児医として勤務しながら、治療法のない病気の子ども達を見るたびに「何か根本的に病気を治せる方法はないだろうか」と思い悩み、「画期的な治療法」を求めて基礎の門を叩いた30歳の時です。それから20余年、今では遺伝子治療もかなりのコンセンサスが得られるようになりましたが、当時は、まだ、遺伝子治療があまり知られていない頃で、学会等で「どのような研究をなさっていますか?」の質問に「遺伝子治療」と答えるのは、たいそう恥ずかしいものがありました。ただ、当時より始めたレトロウイルスベクターの研究は今でもライフ・ワークとして続けており、「継続することの重要性」をこの年になって改めて感じております。

私は、これまで北海道大学でのアデノシン・デアミナーゼ(ADA)欠損症に対する遺伝子治療や筑波大での再発白血病に対するHSV-TK遺伝子導入ドナーリンパ球輸注療法を行ってきました。確かに、個人的には満足のいく部分もありますが、総合的にみるとやはり多くの問題点や改善点があり、その解決策を模索しておりました。そのような中、幸運にも平成21年にこの成育遺伝研究部部長の職を拝命致し、さらに、平成22年より当センター病院の免疫科の医長も併任することになりました。

私がここで求める研究スタイルは、単にことばだけのTranslational Researchではなく、真の意味で病院と研究所が一体となって進める臨床研究であり、当センターが中心となって小児難治性疾患に対する遺伝子治療を実施していくことで、我が国の包括的な遺伝子治療実施体制を構築できるものと信じております。

今後は、このホームページ(おしらせ)を通して当センターが計画している原発性免疫不全症に対する遺伝子治療臨床研究の進捗状況や国内外の遺伝子治療に関する興味あるニュースを配信していく予定ですので、皆様の遺伝子治療に関する忌憚のないご意見ならびにご質問等を頂ければと考えております。

また、私がそうであったように「新しいもの」を求める若い研究者は大歓迎です。まずは連絡ください。皆様方の問題意識を共有できればと考えております。

それでは、今後ともよろしくお願い致します。

成育遺伝研究部 部長 小野寺 雅史