厚生労働省難治性疾患克服研究事業

14番染色体父親性・母親性ダイソミーおよび類縁疾患の診断・治療指針作成に関する研究班

研究の概要

14番染色体父親性ダイソミーおよび類縁疾患

14番染色体父親性ダイソミー (upd(14)pat) および類縁疾患は、胎児期において、羊水過多、胎盤過形成を呈し、出生後はベル型と形容される小胸郭、臍帯ヘルニアなどの腹壁の異常、特徴的な顔貌などを示す先天性奇形症候群です。 ダイソミー症例はこれまでに報告がありましたが、私達は、2008年に upd(14)pat の臨床症状を示す微小欠失症例、エピ変異症例を世界で初めて同定しました (Kagami, Nature genetics, 2008)。

upd(14)pat

upd(14)pat 患者は、2005年以前には世界で10数例、日本では3例しか報告されていませんでしたが、2004年からの約5年間で我々は30例以上の14番染色体父親性ダイソミー (upd(14)pat) および類縁疾患患者を同定しており、潜在する未診断例が多いことが予想されます。 しかし、 その疾患概念は、一般臨床現場にほとんど浸透しておらず、わが国における患者数、長期予後、合併症などについては全く不明です。


14番染色体母親性ダイソミーおよび類縁疾患

14番染色体母親性ダイソミー(upd(14)mat)は14番染色体がともに母親に由来し、出生前後の成長障害、新生児期・乳児期の筋緊張低下、哺乳不良、思春期早発傾向、小さな手等の臨床像を示します。 近年、upd(14)mat の新生児期の臨床像が Prader–Willi 症候群(PWS)と類似し、PWSと臨床診断されている症例のなかに、upd(14)mat の症例が混在していると報告されています。 PWSと異なり性腺機能不全、過食は認められません。

正確な数は不明です。 これまでに約40症例ほどが報告されています。 本邦においては、PWS表現型を示し、15番染色体のメチル化異常を認めない症例78例中6例において本疾患が同定されました。 PWSと臨床診断されていない本疾患患者の報告例はなく、未診断例が多く存在すると考えています。 その疾患概念は、一般臨床現場にほとんど浸透しておらず、わが国における患者数、長期予後、合併症などについては全く不明です。


本研究の目的は、

  • (1) 14番染色体父親性・母親性ダイソミーおよび類縁疾患の発症率の推定と臨床データの集積をすること
  • (2) これらのデータをもとに診断・治療指針の作成をすること
です。

具体的には全国の病院へ、調査票を送付し、患者さんの実数を把握します。 疑い症例については希望により遺伝子解析を行い、確定例については詳細な臨床症状の評価を行い診断基準を作成します。 研究成果はホームページを通じて患者さんへ情報提供していく予定です。