展示動物等の飼養及び保管に関する基準 (昭和51年2月10日総理府告示第7号)

第1 一般原則

1 管理者及び飼養者は、展示動物の習性、生理、生態等を理解し、かつ、愛情をもって

これを飼養し、及び動物本来の姿を展示して観覧者に動物に関する知識と動物愛護に

ついての関心を深めるように努めるとともに、責任をもってこれを保管し、展示動物

による人の生命、身体又は財産に対する侵害及び生活環境の汚損を防止するように努

めること。

2 管理者は、施設の立地及び整備状況、飼養者の飼養能力等の条件を考慮して飼養する

展示動物を選定するように努めること。

3 管理者は、自己の管理する施設で飼養することが展示動物の適正な展示、繁殖等に支

障があると認めるときは、他の動物園等への移籍その他の措置を講ずるように努める

こと。

4 管理者は展示動物が伝染病にかかり、人又は他の動物に著しい被害を及ぼすおそれの

ある場合、苦痛が甚だしく、かつ、治癒の見込みのない疾病にかかり、又は負傷して

いる場合、凶暴性が甚だしく、かつ、飼養を続けることが著しく困難である場合等を

除いて展示動物を終性飼養するように努めること。

第2 定義

この基準において、次の各号に揚げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 動物 哺乳類(犬及びねこを除く。)、鳥類及びは虫類に属するものをいう。

(2) 展示動物 次のアからエまでに揚げる動物をいう。

ア 動物園、水族館、植物園、公園等の公共の場所の常設の施設において飼養展示する動

イ 不特定の場所に移動して飼養展示する動物

ウ 興行、映画製作等に使用し、又は提供するために飼養及び保管する動物

エ 展示用若しくは愛がん用に飼養する者に販売するため又は客寄せのために飼養展示す

る動物

(3) 飼養展示 展示動物を飼養し、保管し、及び展示することをいう。

(4) 施設 飼養展示するための施設をいう。

(5) 管理者 展示動物の所有者又は占有者で、展示動物及び施設を管理する者をいう。

(6) 飼養者 飼養展示の作業に従事する者をいう。

第3 健康及び安全の保持

1 飼養者の教育訓練等

管理者は、展示動物の飼養展示がその動物について十分な知識と飼養経験を有する者

により、又はその監督のもとに行われるようにするとともに、飼養者に対して必要な

教育訓練を行い、展示動物の保護及び展示動物によるによる事故防止に努めること。

2 施設の設置等

管理者は、展示動物の習性及び生理に適合するものであり、かつ、飼養者が適切に飼

養展示できる施設を設置し、又は整備するように努めること。

3 適正な飼養

管理者及び飼養者は、下記事項に留意し、展示動物に必要な運動、休息及び睡眠を確

保し、並びに展示動物の健全な成長及び本来の習性の発現を図るように努めること。

(1) 動物の種類、発育状況等に応じて適正に飼料及び水の給与を行うこと。

(2) 動物の寄生虫の防除、疾病の予防等日常の健康管理に努めるとともに、疾病にかかり、

又は負傷した動物に対しては、原則として獣医師により速やかに適切な措置を講ずる

こと。

(3) 捕獲後間もない動物又は他の施設から移動してきた動物については、飼養環境への順

化順応を図るために必要な措置を講ずること。

(4) 原則として、動物の繁殖が支障なく行われるように出産及び営巣の場所の確保等必要

な条件を整えること。

4 観覧者に対する指導

管理者は、観覧者に対して観覧上の注意事項を遵守するように指導を行い、観覧者が

展示動物に食物等を与え、又は石、棒等で展示動物を傷つけ、若しくは苦しめること

がないように努めること。

第4 危害防止

1 施設の構造等

管理者は、人に危害を加えるおそれのある展示動物を飼養展示する場合には、施設の

構造等について下記事項に留意し、人身事故の防止に努めること。

(1) 施設は、動物が脱出できない構造とすること。

(2) 施設は、飼養者が飼養展示に当たって、危険を伴うことなく作業できる構造とするこ

と。

(3) 観覧者は、施設と十分の間隔を設け、観覧者が観覧上の注意事項を遵守する場合には、

動物が観覧者に触れることができないようにするとともに、観覧場と施設との仕切り

は、幼児が容易に越えられないようにすること。

(4) 自動車等を施設に入れて動物を観覧させる場合は、観覧者に対して、自動車等の扉及

び窓を常時閉めておくように指導するとともに、施設内の巡視その他観覧者の安全の

確保に必要な措置を講ずること。

2 脱出時対策

(1) 管理者は、人に危害を加えるおそれのある動物の脱出時の措置について予め対策を講

じ、脱出時の事故の防止に努めること。

(2) 管理者及び飼養者は、人に危害を加えるおそれのある展示動物が施設から脱出した場

合には、速やかに関係機関への通報及び観覧者等の避難誘導を行うとともに、脱出し

た動物の捕獲等を行い、展示動物による事故の防止に努めること。

3 緊急時対策

管理者は、地震、火災等の非常災害に際してとるべき緊急措置を定め、非常災害が発

生したときは、速やかに展示動物を保護し、及び展示動物による事故の防止に努める

こと。

4 有毒動物の飼養展示

管理者は、毒蛇等の有毒動物を飼養展示する場合には、抗毒血清等の救急医薬品を備

えるとともに、飼養者に救急処置法を熟知させ、人身事故の防止に努めること。

第5 適正な展示

管理者は、展示動物の展示に当たっては、下記事項に留意し、動物本来の形態及び習

性が観覧できるように努めること。

(1) 観覧者に残酷な印象を与えるような不具動物又は傷病中の動物を展示しないこと。

(2) 動物にその動物の本来の形態を損なうような施術、着色等をして展示しないこと。

(3) 動物に過酷な訓練を伴う演芸をさせないこと。

(4) 動物の飼養に当たって、生きている動物を餌として給与することが不可欠であっても、

できるだけそれを展示中に行わないこと。

第6 生活環境の保全

管理者又は飼養者は、展示動物の汚物等の適正な処理を行うとともに、施設を常に清

潔にして悪臭等の発生防止を図り、生活環境の保全に努めること。

第7 飼養展示等の補則

1 管理者は、展示場所を移動して展示する展示動物で、常時第3の2に定める施設に適

合する施設において飼養展示することが困難なものについては、その動物に必要な休

息機関を設け、その期間中第3の2に定める施設に適合する施設において十分に休養

させ、展示動物の健全な成長及び本来の習性の発現ができるように努めること。

2 管理者は、展示動物の輸送に当たっては、下記事項に留意し、展示動物の健康及び安

全並びに展示動物による事故の防止に努めること。

(1) 動物の疲労及び苦痛をできるだけ小さくするため、なるべく短い時間による輸送方法

を選ぶこと。

(2) 動物の種類、性別、性質等を考慮して適切に区分して輸送する方法をとるとともに、

輸送に用いる車輛、容器等は、動物の安全の確保及び動物の脱出防止のために必要な

規模及び構造のものを選定すること。

(3) 輸送中の動物に適切な間隔で給餌及び給水すること。

第8 愛がん動物の所有者等への準用

この基準の第3(1及び4を除く。)、第4(1の(3)及び(4)を除く。)及び第6に定め

る事項で展示動物の飼養及び保管に係る部分は、愛がん用として飼養及び保管する動

物の所有者又は占有者に、この基準の第5に定める事項は、犬又はねこの所有者又は

占有者に、この基準の第7の2に定める事項は、愛がん用として飼養及び保管する動

物又は犬若しくはねこの所有者又は占有者にそれぞれ準用する。